暮らしのコラム
「その方らしさ」を支えるパーソナルケアの実践
佐藤 真由美(介護福祉士)
#パーソナルケア#介護#現場の知恵
介護の現場で働きはじめて12年。私が日々大切にしているのは、「その方の人生をひも解く」という時間です。介護は、ただ食事や入浴を介助する仕事ではありません。お一人おひとりが歩んでこられた人生、ご家族との関係、好きだった音楽、苦手な食べ物 ─ そうした細やかな情報が、ケアの質を決めると私は感じています。
朝のお声がけから始まる
たとえば、朝のお声がけひとつをとっても、「おはようございます」だけでは届かない方がいらっしゃいます。長年学校の先生をされていた方には、「先生、おはようございます。今日は晴れていますよ」と。郷里の話をしたい気分かもしれない方には、季節の話題から。
その日のお身体の調子、ご家族からの連絡、夜間の様子 ─ そうした情報を朝礼で共有し、その方に合った最初の一言を考える。これが「その方らしさに寄りそう」の出発点です。
食事はその方の「物語」
食事介助の場面でも、「召し上がりませんね」と片づけてしまうのは簡単です。けれど、なぜ召し上がらないのか。喉の調子なのか、味付けの好みなのか、それとも「もう少し家族と一緒のときに食べたい」というお気持ちなのか。
ご家族から伺ったレシピを参考に、栄養士と相談しながら少しずつ味を調整する。お一人で食べるのが寂しい方には、スタッフがお話しながら一緒に過ごす。そんな小さな工夫が、「美味しい」のひと言につながります。
「あなたで良かった」という宝物
長く担当させていただいたご入居者様が、ある日、こうおっしゃいました。「あなたで良かった」と。私はその一言を、12年経った今でも胸に大切にしまっています。
私たちの仕事は、効率では測れません。でも、「あなたで良かった」とおっしゃっていただける関係を、お一人おひとりと丁寧に築いていく。それが、ベネスタイルケアの介護です。